第1 M&Aの手法(スキーム)の選択
M&Aを実現するスキームとしては多様なものがありますが、その中でも株式譲渡が、最も単純かつ簡便な手法で、実務上多く用いられています。
また、事業の一部を買収するときには、事業譲渡、会社分割が用いられます。会社分割後に新設会社または承継会社の株式を譲渡する例も多くあります。
他にも少数ではありますが、募集株式の発行等により支配権を取得する例や、株式交換を用いた買収も見受けられます。
このように、M&Aの手法は多様なものが存在し、場合によっては複数の手法を組み合わせて利用することもあるため、どのようなスキームを選択することが買い手にとってメリット・デメリットになるのか、それぞれの手法の特色を理解する必要があります。
以下では、スキーム選択にあたっての考慮要素と各手法の概要を説明します。
1 M&Aスキーム選択にあたっての考慮要素
多様な手法のうちいずれの手法を用いるかについては、経営上の観点だけでなく、簿外債務の承継リスクの観点、許認可や契約関係の引継ぎ、紛争の予防、人事労務、必要手続の多寡といった法律上の観点、税負担といったコストの観点など多面的な観点から慎重に検討する必要があります。
当事務所では、公認会計士、税理士等の各専門家との密な連携によって、タックスプランニングも含めた総合的な観点から、買収をご検討の経営者の皆様の目的に応じ、最適なスキームのご提案も承っています。
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M&A(買い手側)の基礎知識④-弁護士が関わるM&A手続の概要Ⅱ
M&A(買い手側)の基礎知識⑤-弁護士が関わるM&A手続の概要Ⅲ
M&A(買い手側)の基礎知識⑥-弁護士が関わるM&A手続の概要Ⅳ
M&A(買い手側)の基礎知識⑦-弁護士が関わるM&A手続の概要Ⅴ
M&A(買い手側)の基礎知識⑧-弁護士が関わるM&A手続の概要Ⅵ
M&A(買い手側)の基礎知識⑨-弁護士が関わるM&A手続の概要Ⅶ
M&A(買い手側)の基礎知識⑩-弁護士が関わるM&A手続の概要Ⅷ
M&A(買い手側)の基礎知識⑪-弁護士が関わるM&A手続の概要Ⅸ
M&A(買い手側)の基礎知識⑫-弁護士が関わるM&A手続の概要Ⅹ