加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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事業承継・少数株主対策-持株会⑥

5 従業員持株会の運営・存続

 非上場会社の従業員持株会においては、設立後に総会や理事会が開催されず、また配当金が一切支払われない等、従業員持株会が有名無実化している場合も散見されます。

 しかし、先に述べたように譲渡制限ルールの有効性の判断要素として、配当の実施状況があげられているため、多額の利益が出ているにもかかわらず無配当を継続していた場合には、後になって当該譲渡制限ルールの効力が否定され、従業員に対して多額の株式譲渡代金を支払わなければならない法的リスクが生じ得ます。

 また、従業員持株会が形骸化することで、会社からの独立性を否定され、各種税務上のリスクや、従業員持株会の負担する債務が会社自身の債務であると判断されるリスクも高まる等、多くの弊害があります。

 そのため、従業員持株会設立させただけで満足せずに、従業員持株会発足後においても、適切な運営を行うことが肝要となります。

 ところで、持株会の規約や会社・従業員持株会の合意書において定めることで、会社内部に従業員持株会専用の事務所を設け、会社従業員がその従業員持株会の事務を代行し、あるいは従業員持株会の参加者が追加で株式を購入する場合の資金源として奨励金を交付する等の会社が従業員持株会(参加者)に対して一定の便宜を与えることも可能です。

 もっとも、利益供与や株主平等原則との関係で他の株主との間で争いが生じるリスクや、税務上のリスクも生じ得るため注意が必要です。

 従業員持株会に特別な便宜を与える場合には、社会通念上、従業員の福利厚生の一貫といえる範囲内に留めておく必要があり、弁護士等の各専門家に相談されることを強くお勧めします。

<終わり>

事業承継・少数株主対策-株式の集約①

事業承継・少数株主対策-株式の集約②

事業承継・少数株主対策-株式の集約③

事業承継・少数株主対策-株式の集約④

事業承継・少数株主対策-株式の集約⑤

事業承継・少数株主対策-株式の集約⑥

事業承継・少数株主対策-株式の集約⑦

事業承継・少数株主対策-株式の集約⑧

事業承継・少数株主対策-募集株式の発行等①

事業承継・少数株主対策-募集株式の発行等②

事業承継・少数株主対策-募集株式の発行等③

事業承継・少数株主対策-種類株式①

事業承継・少数株主対策-種類株式②

事業承継・少数株主対策-種類株式③

事業承継・少数株主対策-種類株式④

事業承継・少数株主対策-種類株式⑤

事業承継・少数株主対策-属人的定めの活用

事業承継・少数株主対策-持株会①

事業承継・少数株主対策-持株会②

事業承継・少数株主対策-持株会③

事業承継・少数株主対策-持株会④

事業承継・少数株主対策-持株会⑤

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