1 各種持株会
「持株会」とは、参加者が株式の保有を目的として運営する組織をいいます。
この内、会社の従業員が自ら勤めている会社の株式の保有を目的として組成する持株会を「従業員持株会」、会社の役員が当該会社の株式の保有を目的として組成する持株会を「役員持株会」と呼びます。この他にも、会社の取引関係者が当該会社の株式の保有を目的として組成する「取引先持株会」もあります。
持株会の設立は、従業員等に株式を保有させることで、勤労意欲や社業繁栄への気運を高めるとともに、配当金等を交付することで、従業員等の財産形成にも役立ちます。また、持株会の設立は、相続税対策や安定株主の確保など、会社・オーナー側にも大きなメリットがあります。
一方で、従業員持株会の設立・運営には、後述するとおり、法律上・税務上のリスクもつきまといます。
上場会社においては、通常、証券会社又は信託銀行の管理の下、従業員持株会設立当初から制度が整備され、適切な運営がなされていますが、非上場会社においては、IPOを目指す一環として従業員持株会を設立する場合を除き、制度設計が杜撰で、設立後に適切な運営がなされていない場合も多く、相続税対策という目的にのみ囚われ、各種リスクが看過されて従業員持株制度が導入・運用されているケースが散見されます。
従業員持株制度の導入にあたっては、そのメリットを最大限享受しつつ、各種リスクを回避しながら、導入目的に適う制度設計を行うことが重要で、そのためには弁護士等の各種専門家に相談・依頼することを強くお勧めします。
以下では、主としてIPOを予定していない非上場会社における従業員持株会の概要について説明します。
<続く>