スクイーズ・アウトⅠ
1 スクイーズ・アウトの3つの手法
「スクイーズ・アウト」とは、対象会社やその支配株主が、対象会社の少数株主の保有する株式の全部をその承諾を得ることなく、金銭その他の財産を対価として取得し、株式会社から少数株主を強制的に閉め出すことをいいます。スクイーズ・アウトの内、少数株主に交付される対価が金銭である場合を、特に「キャッシュ・アウト」と呼びます。
スクイーズ・アウトは、その性質上、少数株主との紛争の端緒となることが多く、株式価額につき折り合いがつかない場合には、当該価額は、最終的に裁判所が決定することとなります。
そして、裁判所の決定する株式価額は、税務上の株式の評価額とは異なり、特段の事情がない限り、対象会社の将来のフリーキャッシュフローの割引現在価値の合計により企業価値評価を行う手法である「DCF法」を用いて算出されるのが主流となっています。優良企業であればあるほど、税務上の株式評価額との開きが大きくなり、想定した以上に高額化する傾向にあります。
そのため、スクイーズ・アウトの各手法による株式集約化は、先に任意の買取り交渉を試みて、これが不可能ないし著しく困難な場合に検討すべき最終手段といえます。
スクイーズ・アウトの実施には、高度かつ専門的な法的知識が要求され、法定手続も多く、手続に瑕疵があればスクイーズ・アウトの効力が無効となってしまうリスクもありますので、可及的に紛争の発生を予防し、また仮に紛争化した場合でも最善の対処が可能なようにするために、会社法に明るい弁護士の助言・関与が必要不可欠な手続といえます。
以下、スクイーズ・アウトの代表的な手法を3つ紹介します。
<続く>