大阪地裁は、平成30年2月21日、日本郵便の契約社員8人が正社員と同じ仕事をしているのにもかかわらず、手当などに格差を設けているのは違法であるとして同社に計約3100万円の損害賠償を求めた訴訟(以下「本件訴訟」といいます。)において、一部の手当の格差につき労働契約法20条に反する違法があると認め、同社に対し、計約300万円の支払いを命じました。
労働契約法20条は、有期雇用の非正規労働者の労働条件と正規労働者の労働条件との間の不合理な差別を禁止しています。当該条項に反する労働契約の定めは無効となると解されています。
報道によりますと,本件訴訟の原告は、大阪、兵庫、広島3府県の郵便局で働く時給制や月給制の契約社員8人であり、判決では、これらの契約社員には支給されない年末年始勤務手当(1日4000円から5000円)、正社員が対象の扶養手当(配偶者で月1万2000円等)及び転居を伴う異動がない正社員に支給される住居手当(月最大2万7000円)の格差を不合理と判断しました。
この点、同社の契約社員が提起した同様の訴訟において、平成29年9月の東京地裁判決もまた,年末年始勤務手当及び住居手当について,「不合理」と判断していましたが,その支給すべき額については,それぞれ正社員の8割、6割と算定していました。他方、今回の大阪地裁の判決では、正社員と同額の支払いを命じている点が注目されます。
このように,大阪地裁は労働者側の主張を認めた一方で,原告らは、正社員と同様の夏季休暇、冬季休暇及び療養休暇の各種休暇を取得するべく、上記損害賠償請求と併せて,正社員と同じ地位にあることの確認請求をしていたところ,この点については不適法却下されており、判断が示されませんでした。また、夏季・年末手当(賞与)についても「正社員への支給を手厚くするのは人事上の施策として一定の合理性がある」として請求を認めませんでした。