加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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ソフト解析を合法化 著作権法改正案提出へ

 平成30年1月31日付の報道によれば,政府は,開会中の通常国会に著作権法の改正案を提出するとのことです。

 今回著作権法が改正される動機のひとつとして,ソフトウェア開発の促進が挙げられます。

 ウィンドウズなど既存のソフトウェアに対するサイバー攻撃に対処するセキュリティソフトウェア開発のためには,著作権のあるソフトウェアの解析や複製などを行って脆弱性を発見する必要があります。

 しかしながら,現行の著作権法第47条の7本文は,「著作物は,電子計算機による情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から,当該情報を構成する言語,音,影像その他の要素に係る情報を抽出し,比較,分類その他の統計的な解析を行うことをいう。以下この条において同じ。)を行うことを目的とする場合には,必要と認められる限度において,記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行うことができる。」と定めているところ,文言上,ソフトウェアの解析が「当該情報を構成する言語,音,影像その他の要素に係る情報を抽出し,比較,分類その他の統計的な解析を行うこと」に該当し適法となるかどうかが一義的に明らかではなく,そのために,セキュリティソフトの開発に有為な複製や解析が制限される例がありました。

 そのため,著作権法の改正案では,用途を具体的に限定せず,セキュリティ対策など広範な目的で解析や複製ができるように条文を見直すこととされています。

 現在,セキュリティ対策のためのソフトウェアの解析は,欧米では認められていますが,日本では明示的に認められていないため,日本の研究者やセキュリティ人材育成の遅れの一因になっているとの指摘も出ています。この点,経済産業省の推計によれば,平成32年にはセキュリティ人材は約19万3千人不足するとされており,人材育成及びソフトウェア開発に関連する法整備については喫緊の課題となっています。

http://www.sankei.com/economy/news/180131/ecn1801310005-n1.html

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