取締役会設置会社かつ非公開会社において,代表取締役は取締役会の決議によって定めるものとするが,必要に応じ株主総会の決議によって定めることができるとの定款の定めの有効性が争われた仮処分命令申立事件において,最高裁は,2月21日,かかる定款の定めも有効であるとの判断を示しました。
最高裁は,取締役会を置くことを当然に義務付けられているものではない非公開会社(法327条1項1号参照)が,その判断に基づき取締役会を置いた場合,株主総会は,法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議をすることができることとなるが(法295条2項),法において,この定款で定める事項の内容を制限する明文の規定はない,とまず述べました。続けて,法は取締役会をもって代表取締役の職務執行を監督する機関と位置付けていると解されるが,取締役会設置会社である非公開会社において,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができることとしても,代表取締役の選定及び解職に関する取締役会の権限(法362条2項3号)が否定されるものではなく,取締役会の監督権限の実効性を失わせるとはいえないとし,これらを理由に,上記定款の定めを有効と判断しました。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/527/086527_hanrei.pdf