不特定多数に向けた広告が,消費者契約法が規制する「勧誘行為」にあたるかどうかが争われた訴訟の上告審判決が,1月24日,最高裁第3小法廷で出されました。最高裁は,広告が勧誘行為として規制対象になり得るとの初判断を示しました。問題になったのは,健康食品として知られる「クロレラ」の新聞折り込みチラシです。
最高裁は,原審による,消費者法12条1項及び2項にいう「勧誘」には不特定多数の消費者に向けて行う働きかけは含まれないとの判断を是認せず,事業者が商品等の内容や取引条件その他これらの取引に関する事項を具体的に認識しうるような新聞広告により不特定多数の消費者に向けて働きかけを行うときは,当該働きかけが個別の消費者の意思形成に直接影響を与えることもあり得るから,事業者等が不特定多数の消費者に向けて働きかけを行う場合を「勧誘」に当たらないとして,その適用対象から一律に除外することは,消費者契約法の趣旨目的に照らし相当とは言いがたい,としました。このような理由から,最高裁は,事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたものであったとしても,そのことから直ちにその働きかけが消費者契約法12条1項及び2項にいう「勧誘」に当たらないということはできないと結論づけています。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/454/086454_hanrei.pdf