東京証券取引所マザーズに上場していた半導体製造装置メーカー「エフオーアイ」の粉飾決算で損失を被ったとして,同社の株主約200人が旧経営陣らに損害賠償を求めた訴訟の判決で,東京地裁は,12月20日,旧経営陣らに請求通り約1億7500万円の支払いを命じました。加えて,上場時の主幹事証券会社であったみずほ証券(旧みずほインベスターズ証券)にも,うち約3100万円の賠償を命じました。粉飾決算を巡り,上場の審査に関わった証券会社の賠償責任を認めたのは初めてです。
エフオーアイ被害株主弁護団によりますと,原告らは,エフオーアイ元役員(取締役5 名,監査役3名),公認会計士(2名・和解済み),引受証券会社(主幹事証券会社であるみずほ証券を含む12社),売出し所有者(4名),株式会社東京証券取引所,日本取引所自主規制法人を被告として,①発行市場損害(エフオーアイの上場時に新規公開株式を取得したことによる損害),②流通市場損害(株式市場でエフオーアイの上場廃止までに同社株式を取得したことによる損害)の賠償を求めて提訴していました。これに対し判決は,①の発行市場損害について,主幹事証券会社のみずほ証券に対し,「上場に係る引受審査について相当な注意を用いてこれを行ったということはできない」として,金商法上の賠償責任を認めたとのことです。
また,上記弁護団は,自主規制法人についても上場審査にあたり投資者に対して不法行為法上の注意義務を認めた点でも画期的であるとしていますが,みずほ証券につき,②流通市場損害の責任を否定した点,自主規制法人らに対する賠償責任を否定した点において不十分であるとの見解を示しています。