加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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預貯金も遺産分割の対象に 最高裁が判例変更

預貯金が遺産分割の対象となるかどうかが争われた審判の許可抗告審で,最高裁大法廷は,12月19日,従来の判例を変更し,預貯金を遺産分割の対象とする判断を示しました。15裁判官全員一致の結論です。

最高裁は,一般的には,遺産分割では被相続人の財産をできる限り幅広く対象とすることが望ましく,現金のように,評価についての不確定要素が少なく,具体的な遺産分割の方法を定めるに当たっての調整に資する財産を遺産分割の対象とすることへの要請も広く存在することがうかがわれるとし,預貯金は,預金者においても,確実かつ簡易に換価できる点で現金との差をそれほど意識させない財産と受け止められているとしています。そのうえで,共同相続の場合に,遺産分割手続の当事者の同意を得て預貯金債権を遺産分割の対象とするという運用が実務上広く行われていることにも言及しています。

これらを踏まえ,最高裁は,さらに,問題となった預貯金の種類ごとに,遺産分割の対象とすることができるか否かにつき検討しています。

まず,普通預金債権及び通常貯金債権は,預金者が死亡することにより共同相続人全員に帰属するに至るが,これらの債権は口座において管理されており,預貯金契約上の地位を準共有する共同相続人が全員で預貯金契約を解約しない限り,同一性を保持しながら常にその残高が変動し得るものとして存在し,各共同相続人に確定額の債権として分割されることはないと解されるとしています。次に,定期貯金債権については,同債権が原則として預入期間内には払戻しができず,払戻しをする場合でも一部払戻しの取扱いをしないものとされている趣旨は,貯金の管理を容易にして,定期郵便貯金に係る事務の定型化,簡素化を図ることにあるものと解されるところ,定期貯金債権が相続により分割されると解すると,それに応じた利子を含めた債権額の計算が必要になる事態を生じかねず,定期貯金に係る事務の定型化,簡素化を図る趣旨に反するとしています。加えて,仮に同債権が相続により分割されると解したとしても,同債権には上記のような払戻しに関する制限がある以上,共同相続人は共同して全額の払戻しを求めざるを得ず,単独でこれを行使する余地はなく,そのように解する意義は乏しいとしています。

そして,以上のように,預貯金一般の性格等を踏まえたうえで,各種預貯金債権の内容及び性質等をみると,共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となるものと解するのが相当であるとしています。

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