加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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期間1年の有期労働契約が3年の更新限度期間の満了後に期間の定めのないものとなったとはいえないと判断された最高裁判例

九州女子短大に雇われた元講師の女性が,1年で不当に雇い止めをされたとして,運営する学校法人に雇用の継続などを求めた訴訟の上告審判決が,12月1日,最高裁で出されました。二審福岡高裁判決のうち,雇い止めを不当として2年分の未払い賃金の支払いを命じた部分は確定しましたが,更新限度期間の3年を超える部分については破棄されました。

最高裁は,

「本件労働契約は,期間1年の有期労働契約として締結されたものであるところ,その内容となる本件規程には,契約期間の更新限度が3年であり,その満了時に労 働契約を期間の定めのないものとすることができるのは,これを希望する契約職員の勤務成績を考慮して上告人が必要であると認めた場合である旨が明確に定められていたのであり,被上告人もこのことを十分に認識した上で本件労働契約を締結したものとみることができる。

上記のような本件労働契約の定めに加え,被上告人が 大学の教員として上告人に雇用された者であり,大学の教員の雇用については一般に流動性のあることが想定されていることや,上告人の運営する三つの大学において,3年の更新限度期間の満了後に労働契約が期間の定めのないものとならなかった契約職員も複数に上っていたことに照らせば,本件労働契約が期間の定めのないものとなるか否かは,被上告人の勤務成績を考慮して行う上告人の判断に委ねられているものというべきであり,本件労働契約が3年の更新限度期間の満了時に当然に無期労働契約となることを内容とするものであったと解することはできない。」

などとしています。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/307/086307_hanrei.pdf

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