日本音楽著作権協会(JASRAC)は9月14日,放送事業者との楽曲使用料の包括徴収契約に関して,公正取引委員会から受けていた排除措置命令の取消しを求め申立てていた審判請求を,9月9日付けで取り下げたことを公表しました。取り下げた理由につきJASRACは,排除措置命令が求めていた事業者ごとの利用実績に基づく利用割合算出が可能になったこと,JASRAC含む音楽著作権管理事業者3者,日本放送協会,日本民間放送連盟の5者による協議で,平成27年度分以降の放送使用料に適用する利用割合の算出方法で合意したこと等から,排除措置命令が問題とした状況が既に事実上解消されつつあること等を挙げています。
この問題は,公正取引委員会が平成21年,JASRACが放送事業者との間で結んでいる,使用楽曲数によらず事業収入の一定金額を楽曲使用料として徴収する「包括徴収契約」が,新規著作権管理事業者の活動を排除し,放送事業者に対する管理楽曲の利用許諾分野の競争を制限しているとして,JASRACに対し,包括徴収契約の中止と,新たな契約の策定などを求めたことから始まりました。その後,平成27年4月には,包括徴収契約は独禁法違反との判断が最高裁で確定していました。