8月4日の報道によりますと,かねてから出光興産と昭和シェル石油の合併に対して反対の意を表明していた,出光創業家側の出光昭介名誉会長が,自ら昭和シェルの株式0.1%を取得したことが,創業家代理人の弁護士の記者会見により発表されました。創業家側の狙いは,合併のためにTOB(株式公開買い付け)によるしかない環境を作り出す点にあるとみられています。
企業の買収にあたっては,3分の1を超える株式を取得する場合,原則としてTOBが必要であるところ,合併計画では,出光が昭和シェル株式を3分の1未満の33.24%を取得する予定となっているため,TOBによる必要はありません。しかし,創業家代理人弁護士によると,創業家側は,同名誉会長は出光興産と密接な関係にある「特別関係者」にあたるとの主張ですが,仮に「特別関係者」に該当する場合,今回の昭和シェル株式0.1%の取得により,出光の株式取得率が33.34%となり,3分の1を超えるため,TOBが必要となります。TOBとなると買収価格が高額になる可能性があります。
もっとも,会社と創業家大株主が対立している中,創業家大株主が「特別関係者」に該当するかどうかは,議論が生じるところだと思われます。