加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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歓送迎会後の帰社中の事故につき労災を認める最高裁判決

職場の歓送迎会に参加した後,残業のための帰社中に交通事故で死亡した男性の妻が,国に対して労災認定を求めた訴訟で,最高裁は7月8日,労災と認めなかった原審判決を破棄する判決を言い渡しました。

原審は,本件歓送迎会は,中国人研修生との親睦を深めることを目的として,本件会社の従業員有志によって開催された私的な会合であり,男性がこれに中途から参加したことや本件歓送迎会に付随する送迎のために任意に行った運転行為が,事業主である本件会社の支配下にある状態でされたものとは認められないとし,本件事故による男性の死亡は,業務上の事由によるものとはいえないとしていました。

これに対し最高裁は,男性は,本件会社により,その事業活動に密接に関連する本件歓送迎会に参加しないわけにはいかない状況に置かれ,自己の業務を一時中断してこれに途中参加することになり,本件歓送迎会の終了後に当該業務を再開するため本件車両を運転して工場に戻るに当たり,併せて上司の部長に代わり中国人研修生らをアパートまで送っていた際に本件事故に遭ったものということができるから,本件歓送迎会が事業場外で開催され,アルコール飲料も供されたものであり,中国人研修生らをアパートまで送ることが部長らの明示的な指示を受けてされたものとはうかがわれないこと等を考慮しても,男性は,本件事故の際,なお本件会社の支配下にあったというべきであるとし,男性の死亡を業務上の事由によるものであるとしました。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG08H5Z_Y6A700C1CR8000/

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