5月16日,野外ライブ来場者の女性が落雷で死亡したのは主催者側の安全対策の不備が原因だとして,女性の両親が主催者側2社に計約8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が,大阪地裁でありました。長谷部幸弥裁判長は,原告の請求を棄却しました。
報道によりますと,判決理由では,当日は雷注意報が出ていたものの,注意報は落雷事故が起きる抽象的な可能性を示すにすぎず,具体的に予見できたとは認められないと指摘し,落雷があったのがライブ会場の外だった点も挙げ,会場から離れた場所にいた女性を保護すべき義務を負っていたとは認められないと述べたとのことです。
落雷事故に関する訴訟については,高校サッカー大会の試合中に落雷を受けた男子生徒が失明したことにつき,引率した教諭の勤務先高校と,大会主催者の市体育協会の損害賠償責任が争われた事件で,教諭の注意義務違反を認定した平成18年最高裁判決があります。そのため,かかる最高裁判決との関連性も今後問題となるでしょう。