5月13日の報道によりますと,定年退職後に再雇用された嘱託社員のトラック運転手3人が,正社員との賃金格差が不合理であることを理由に定年前と同一の賃金の支払いを求めた訴訟で,東京地裁(佐々木宗啓裁判長)は同日,請求通り正社員との賃金の差額計約400万円の支払いを運送会社に命ずる旨の判決を出しました。
判決は,定年前と同じ立場で同じ仕事をさせながら,給与水準を下げてコスト圧縮の手段にするのは正当ではないと指摘し,再雇用者の賃金を下げる運送会社の社内規定について,正社員と非正社員の不合理な待遇の違いを禁じた労働契約法に違反すると判断したとのことです。他方で,コストの増大を回避しつつ定年者の雇用を確保するため,賃金を定年前より下げること自体には合理性が認められるべきだとも判示しているとのことですので,今後は,定年前後の業務内容の異同についても論点が出てくるでしょう。