経営破綻した消費者金融大手「武富士」が,金融商品取引で巨額の損失を出したのはリスクの説明が不十分だったからだとして,メリルリンチ日本証券などに約290億円の損害賠償を求めていた訴訟の上告審で,最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は,15日,メリルリンチ側に約145億円の賠償を命じた原審高裁判決を破棄しました。旧武富士側の逆転敗訴となり,判決は確定しました。
判決理由によると,最高裁は,原判決と同様の事実関係の下,本件の金融商品取引の具体的仕組み全体は必ずしも単純ではないものの,メリルリンチ側は,その基本的な仕組みに加え,元本を毀損するリスクがあり,最悪の場合には拠出した元本300億円全部が毀損され,その他期日前に償還されるリスクがある旨の説明をしたというべきであると述べています。他方で,旧武富士側も,消費者金融業や企業に対する投資等を目的とする会社であり,その株式は上場しており,国際的に金融事業を行い,今回の取引について公認会計士及び弁護士に対し意見を求めてもいたことから,メリルリンチ側からの説明を理解することが困難であったとはいえず,メリルリンチ側に説明義務違反はないと述べています。