株主総会において,特定の議案を否決する旨の決議がなされた場合,当該否決決議の取消しを請求する訴えが適法か否かが争われた訴訟において,4日,最高裁は,否決決議の取消しを請求する本件訴えは不適法であって,これを却下した原判決は正当であり是認できるとし,決議の取消しを求めていた上告人らの上告を棄却しました。
判決理由によれば,最高裁は,会社法において定められている,株主総会決議取消しの訴えをはじめとする会社の組織に関する訴えについての諸規定は,株主総会等の決議によって新たな法律関係が生ずることを前提とするものであるから,決議によって新たな法律関係が生ずることもなく,決議が取り消されることによって新たな法律関係が生じるものでもない否決決議について,その取消しを求める訴えは不適法であると述べています。
なお,本件では一名の裁判官による補足意見が述べられていますが,そこでは,否決決議がされたことが,他の法的な定めによって,何らかの法律効果の発生要件とされているような場合であっても,当該効果を争うのであれば,否決決議を取り消すのではなく,当該定めの合理的解釈などにより適用を否定する処理も可能であろう,と述べられていることが参考になります。