2011年の東京電力福島第1原発事故につき、東京第5検察審査会によって起訴議決がなされたことを受け、検察官役に指定された弁護士らは先月29日、東京電力の勝俣恒久元会長(75)ら旧経営陣3人につき、業務上過失致死傷罪で、東京地裁に在宅起訴しました。
福島第1原発事故における旧経営陣の刑事責任を巡っては、避難者らが旧経営陣や事故対応に当たった政府関係者を告訴・告発しましたが、東京地検が13年に計42人全員を不起訴としていました。その後、検察審査会による審査の申し立てを受け、東京第5検察審査会は、14年7月に旧経営陣3人を「起訴相当」と議決し、再捜査した地検は、15年1月、再び不起訴としましたが、同審査会が起訴議決をしました。起訴議決には拘束力があるため、今回の強制起訴に至ったものです。今後、公判前整理手続が行われ、争点や主張の整理がなされる予定ですので、第1回公判は来年になる可能性もあります。なお、検察官役の指定弁護士らは、公判手続も担当するとみられています。
強制起訴制度は、検察が不起訴にした事件について、検察審査会が起訴すべきだと2回議決すれば、裁判所が指定した検察官役の弁護士が強制的に起訴する制度で、国民の司法参加の一環で2009年5月に導入されました。