勤務していた塗料大手、日本ペイントホールディングス(HD)の商品に関する営業秘密を転職先に持ち出したとして、愛知県警は16日、東証2部の塗料メーカー、菊水化学工業(名古屋市)の常務、橘佳樹氏(62)を不正競争防止法違反(営業秘密開示)の被疑事実で逮捕しました。同県警によると、橘氏は、認否を留保しています。
被疑事実は、日本ペイントHDのグループ会社に勤務していた2013年1月ごろ、建築用塗料「水性ケンエース」の設計情報などを複製し、不正に利益を得る目的で同年4月ごろ、菊水化学工業の社員に伝えたというものです。菊水化学工業は13年7月、同種の塗料として「K's水系ファインエース」を発売し、昨年11月までに約4億円を売り上げていましたが、この商品の開発に、日本ペイントHDの営業秘密が用いられた可能性があるとして、日本ペイントHDが昨年7月、橘氏を愛知県警に告訴していました。
菊水化学工業の山口均社長は、同氏の逮捕を受けて、「真相究明に向け、捜査に全面的に協力したい」と述べていましたが、23日、記者会見において、両社の製品について「類似性が指摘されているが、塗料の構成成分である樹脂、顔料など全ての要素が異なっている」と説明し、漏えいした営業秘密が新商品に用いられた可能性については否定しているとみられています。