加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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最高裁 退職金規程の不利益変更につき、審理差戻し

山梨県民信用組合(以下、「本件組合」といいます。)と合併した旧峡南信用組合の元職員らが、合併当時の退職金支給規程に基いた退職金の支払いを求めたのに対し、本件組合が、合併に伴い、当該退職金支給規程は、労働者の個別の合意等により変更されたと主張していた退職金請求訴訟につき、最高裁は、19日、退職金支給規程の変更を認めて元職員らの請求を棄却していた原審を破棄し、東京高裁へ審理を差し戻しました。

本件における争点のひとつとしては、退職金支給基準の変更に関する同意書に署名押印をした元職員らについて、基準変更への同意が有効なのかという点でした。このような争点につき、最高裁は、過去に賃金や退職金の減額について合意の有効性が争われた最高裁判決に照らし、「就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく、当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度、労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも、判断されるべきものと解するのが相当である」との判断基準を示しました。

そのうえで、最高裁は、基準変更による不利益の内容等及び、変更に際して元職員らに交付された同意書への署名押印に至った経緯等を踏まえると、同人らが本件基準変更への同意をするか否かについて自ら検討し判断するために必要十分な情報を与えられていたというためには、同人らに対し、旧規程の支給基準を変更する必要性等についての情報提供や説明がされるだけでは足りず、本件基準変更により同人らに対する退職金の支給につき生ずる具体的な不利益の内容や程度についても、情報提供や説明がされる必要があった、と述べています。

そして、原審がこのような具体的不利益の内容や程度について情報提供や説明が事前になされたかという点に着目し、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否か、という観点からの審理を尽くしたとはいえないとして、最高裁は、審理不尽の結果、法定の適用を誤った違法があるとしています。

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO97505330Q6A220C1CR8000/

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