東芝の不正会計問題で株価が下がり、損害を受けたとして、大阪府や兵庫県などに住む個人株主45人が、同社と元役員5人に約1億7300万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が19日、大阪地裁(高橋文清裁判長)で開かれました。東芝と元役員側はいずれも請求棄却を求め、争う姿勢を示しました。
東芝は2008年4月~14年12月、有価証券報告書に水増しした利益を記載しており、こうした不正の発覚で、決算発表を延期した昨年5月から11月末までに、株価は約4割下がっています。こうした株価下落を受け、今回の訴訟で原告側は「虚偽記載によって企業価値を実態以上に見せ、株主の誤った投資判断を招いた」とし、株を売却した原告については購入価格と売却価格の差額、保有中の原告は結審時の想定株価を1株200円として購入価格との差額を損害額として主張しました。他方で、被告の一人である西田厚聡元社長側は「株式の値動きによる損失は、虚偽記載とは因果関係がない」と反論しました。
同種の集団訴訟は東京、福岡両地裁でも起こされていますが、第1回口頭弁論期日は、今回の大阪地裁が最も早いものです。したがって、引き続く東京地裁、福岡地裁における第1回口頭弁論においても、元役員側は、同様の理由で請求棄却を求める可能性が高いといえるでしょう。