オリンパスの粉飾決算事件で、経営陣に損失隠しを指南したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)罪に問われた元証券会社取締役、中川昭夫被告(65)の控訴審判決が17日、東京高裁でありました。井上弘通裁判長は、幇助罪が成立するとして懲役1年6月、執行猶予3年、罰金700万円とした一審・東京地裁判決を支持し、被告の控訴を棄却しました。
一審では、検察側が損失隠しの共同正犯の成立を主張し、懲役3年を求刑したのに対し、裁判所は、同被告はオリンパス関係者の犯行を可能にする重要な役割を果たしたが、他方で、積極的働きかけはしておらず、従属的立場だったとして、旧経営陣らとの共謀関係(共同正犯の成立要件の一つ)を否定し、幇助犯の成立を認めていました。裏返せば、損失隠しは指南役ではなくあくまで旧経営陣の主導の下で行われたということが暗に認められたといえます。今回の高裁判決も、このような一審判決を支持するものです。