加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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漁協への1千万円融資は合理的 最高裁が審理差戻し

 高知県安芸郡東洋町による漁協への貸付金1千万円をめぐり、町内の男性が「違法な支出」として、支出の全額を松延宏幸町長ら幹部が東洋町に弁済するように求めた訴訟の上告審判決が22日、最高裁第2小法廷で言い渡されました。最高裁は、「貸し付け手続きは合理的だった」と指摘し、融資は違法であるとした原判決を破棄し、審理を高松高裁に差し戻しました。

 原審は、「本件議決は,本件貸付けにより利益を受ける者が加わってされたものであり,水産業協同組合法37条2項及びA漁協定款49条の3第2項に反し,手続上の瑕疵があるというべきである。」と述べ、融資は違法であると判断しましたが、最高裁は、「水産業協同組合法37条2項が,漁業協同組合の理事会の議決について特別の利害関係を有する理事が議決に加わることはできない旨を定めているのは,理事会の議決の公正を図り,漁業協同組合の利益を保護するためであると解されるから,漁業協同組合の理事会において,議決について特別の利害関係を有する理事が議決権を行使した場合であっても,その議決権の行使により議決の結果に変動が生ずることがないときは,そのことをもって,議決の効力が失われるものではないと いうべきである。そうすると,漁業協同組合の理事会の議決が,当該議決について特別の利害関係 を有する理事が加わってされたものであっても,当該理事を除外してもなお議決の成立に必要な多数が存するときは,その効力は否定されるものではないと解するのが相当である(最高裁昭和50年(オ)第326号同54年2月23日第二小法廷判決・民集33巻1号125頁参照)。」との、先例にのっとった規範を定立し、かかる水産業協同組合法37条2項と同旨の定めであるA漁協定款49条の3第2項についても、同様に解するのが相当であるとしました。

 そのうえで、本件の事実関係の下では、特別の利害関係を有する理事を除いてもなお議決要件を満たすということができるといえるから、本件の1千万円の貸付にかかる決議に無効の瑕疵はないと判断しました。

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