遺言書全体に遺言者自身による赤字の斜線が引かれていたものの、遺言書全体の内容が判読可能な状態の遺言書の有効性が争われた訴訟で、最高裁判所は、今月20日、前述した「行為の有する一般的な意味に照らして,その遺言書の全体を不要のものとし,そこに記載された遺言の全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当」とし、遺言書全体に故意に斜線を引く行為は,民法1024条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当するとして、遺言の効力を認めない判断を示しました。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20H88_Q5A121C1CR8000/
【参照条文】
民法第960条
遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
民法第968条第2項
自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
民法第1024条前段
遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。