1 株券不発行会社への移行の勧め
株券発行会社においては、会社は株券発行義務を負い、また株券提出手続等の各種手続を強いられる等、各種コストを負担することとなります。
また、株券発行会社において実際に株券を発行している場合には、株券の偽造や紛失等のリスクもあり、善意取得制度(会社法131条)の適用により法律関係が錯綜する危険性もあります。
これに留まらず、M&Aを実行する場合に、過去に行われた株式譲渡の際に株券が交付されていなかったときには、現在の名義人の権利帰属主体性につき疑義を生じさせ、ディールブレイクにも繋がり得る等、大きな障害となり得ます。
このように、株券発行会社は、株券不発行会社に比して、株主管理コストが高く、多くのリスクを孕んでいるため、権利帰属主体の確定のために善意取得制度(会社法131条2項)を積極的に活用する等の例外的な場合を除き、早期に株券不発行会社へ移行させることが好ましいといえます。
<続く>