加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」株券10-株券発行会社における留意事項④

(2)株券喪失登録制度の問題点

株券発行会社では善意取得制度(会社法131条2項)が適用されます。

そして、株券喪失登録制度は、株券に関する実質的権利の帰属を確定する効果をもたないと解されていますので、株券が無効となるよりも前に喪失株券(旧株券)を善意取得する者が現れた場合には、当該善意取得者は、再発行株券の引渡し等を請求できると解されています。

そのため、株券喪失登録制度を活用しても、株券が無効となるよりも前に株券が転々流通することで、法律関係が錯綜するという事態が生じ得ます。

また、株券喪失登録制度により株券を無効とするためには、少なくとも一年以上の期間を要しますので、M&Aや事業承継を予定している場合には注意が必要です。

(3)予防策・解決策

予防策としては、株主が株券を喪失する原因は、株券が実際に発行されることにありますので、株券発行会社が非公開会社である場合には、株主からの株券発行請求がなされるまで株券の発行をせず(会社法215条4項)、株主としては、株券不所持の申出を行う(会社法217条1項)等、実際に株券を発行しないことで、株券の紛失を未然に防ぐことができます。

また、株券を発行する旨の定款が廃止された(株券不発行会社へ移行した)場合、株券は無効となりますので(会社法218条2項)、喪失株券を一刻も早く無効にしたい場合には、株券不発行会社への移行手続を採ることが適切です。

<続く>

「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」株券11-株券発行会社における留意事項⑤

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