加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」株券4-株券発行会社と株券不発行会社の異同②

(2)例外ルール

会社が不当に株券の発行を遅滞しているものと認められる場合には、会社は株券発行前であることを理由に株式譲渡の効力を否定することは許されないと解されています。

また、株式譲渡当事者と株券発行会社とが合意の上、株券を発行しないまま、意思表示のみにより株式が譲渡されたことにして、会社が株主名簿の名義書換を行っていた場合にも、信義則に照らして会社がその株式譲渡の効力を否定できない場合があると解されています。

この信義則に照らして効力を否定できない具体的な場合としては、①その株式譲渡の効力を否定することにより、譲渡当時に株券発行権限を有していた会社代表者が利益を得る場合や、②譲渡当時に株券発行権限を有しなかった当事者間の譲渡であるものの、会社の要請により株券を発行しない処理を行った場合等が当たるとの見解が示されています。

上記のような例外的な事情が存在する場合には、会社との関係においても、株券発行前にした株式の譲渡等を有効として取り扱うことが可能です。

(3)対抗要件

譲渡等ルールに関連し、株券不発行会社においては、株式の譲受人は、会社に加えて、第三者に対しても、株主名簿名義書換手続を経なければ、自己が株主であることを主張できないとされています。一方、株券発行会社においては、会社に対してのみ、株主名簿名義書換手続を経なければ、自己が株主であることを主張できないという違いもあります(会社法130条)。

<続く>

「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」株券5-株券発行会社と株券不発行会社の異同③

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