株券とは、株式会社の株主としての地位を表章する有価証券をいい、株式につき株券を発行する旨を定款で定めた会社を株券発行会社といいます(会社法214条、会社法117条7項)。
これに対し、定款に株券を発行する旨の定めがない会社は、自動的に株券不発行会社となります。会社法施行後においては株券不発行会社であることが原則です。
なお、会社法施行前(平成18年4月30日以前)において、株式会社は、定款で株券を発行しない旨を定めない限り、株券発行会社であることが原則とされていました。
そして、会社法施行時(平成18年5月1日)に存在する株式会社は、その定款に株券を発行しない旨の定めがない限り、株券を発行する旨の定款の定めがあるものとみなされました(会社法整備法76条4項)ので、会社法施行後に株券を発行する旨の定款規定を廃止する定款変更手続(会社法466条、会社法309条2項11号)を行っていない会社は、現在においても株券発行会社ということになります。
中小企業においては、株券不発行会社であることが原則となった会社法施行後においても、上記定款変更手続を行っていない会社が相当数存在しており、事業承継が問題となり得る社歴の長い中小企業であるほど、株券発行会社である可能性が高くなるといえます。
<続く>