加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」競業取引・利益相反取引・利益供与12-利益供与④-

5 取締役の責任

(1)民事責任

利益供与禁止に違反した利益供与に関与した取締役は、会社に対し、連帯して、利益相当額を支払わなければなりません(利益相当額支払責任・会社法120条4項)。関与した取締役とは、①利益供与に関する職務を行った取締役、②利益供与が取締役会決議に基づく場合には、決議に賛成した取締役及び利益供与に関する議案を提案した取締役、③利益供与が株主総会決議に基づく場合には、利益供与に関する議案を提案した取締役、議案の提案に同意した取締役、議案の提案が取締役会の決議に基づく場合には決議に賛成した取締役及び株主総会において利益供与に関する事項について説明した取締役をいいます(会社法施行規則21条)。

もっとも、利益供与をした取締役は無過失責任を負いますが、それ以外の取締役については、無過失を証明することで免責されます(会社法120条4項但書)。

なお、株主は株主代表訴訟により、取締役の責任を追及することができます(会社法847条1項)。

また、利益相当額支払責任のほかに、利益供与禁止に違反した取締役は任務懈怠責任を負います(会社法423条1項)。監視監督義務を怠った取締役についても同様です。

さらに、取締役解任の正当事由、解任の訴えの理由となります(会社法339条2項、854条)。

(2)刑事責任

利益供与については、取締役等について刑事責任が法定されており、3年以下の懲役または300万円以下の罰金の併科が定められています(会社法970条1項、5項)。

以上のとおり、利益供与に対しては厳しい制裁がありますので、経営陣はその旨十分に留意する必要があります。

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