加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」競業取引・利益相反取引・利益供与8-利益相反取引④-

4 取締役の責任

承認を得ていない場合は、利益相反取引をした取締役は任務懈怠責任を問われます(会社法423条1項)。他の取締役も監視義務違反を問われる可能性があります。

一方、承認を得た場合であっても、善管注意義務違反が認められれば、損害賠償責任を負う可能性があります。

さらに、利益相反取引によって会社に損害が発生した場合には、承認の有無を問わず、①直接取引の相手方となった取締役、②間接取引において会社と利益相反する取締役、③利益相反取引をすることを決定した取締役、④承認決議に賛成した取締役は任務を怠ったものと推定されます(同条3項)。

また、自己のために直接取引した取締役は、無過失責任を負います(会社法428条1項)。

その上、利益相反取引をした取締役は、特別背任罪(会社法960条1項)として刑事責任を問われる可能性さえあります。

承認を得ない利益相反取引が取締役解任の正当事由、解任の訴えの理由になるのは競業避止義務違反と同様です(会社法339条2項、854条)。

このように利益相反取引により会社に損害を加えた取締役の責任は重いため、余程の必要性がない限り、利益相反取引は避けるべきです。やむを得ず取引を実行する場合は、必ず法定手続きを履践しなければなりません。

<続く>

「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」競業取引・利益相反取引・利益供与9-利益供与①-

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