3 株主の招集による株主総会
過去の株主総会の瑕疵を治癒し得る一つの選択肢として、経営陣側に総株主の議決権の3%以上を有する株主(典型的には、代表取締役兼株主)がいる場合に採り得る手法があります。
当該経営陣株主は、総株主の議決権の3%以上を有する場合、取締役に対し、株主総会の目的事項及び招集の理由を示して株主総会の招集を請求できます(会社法297条1項)。そして、その後遅滞なく会社が招集手続を行わない場合か、請求から8週間以内の日を会日とする株主総会の招集がされない場合には、裁判所の許可を得て、株主が株主総会を招集することができます(会社法297条4項)。そして、当該経営陣株主が招集した株主総会で、役員の選任決議等を行います。
この方法は、「1」で述べた過去の株主総会決議の不存在の瑕疵が連鎖し、現代表取締役に正当な権限がないのでないかと疑われる場合に、株主が招集権者になることで瑕疵の連鎖が止まる可能性がある手法です。
ただし、判例・裁判例における見解が十分に固まっているわけではないため、この手法を採るべきか否か、また株主の立場で裁判所の許可を得て招集する手続については、慎重に検討すべきです。