3 典型的な株主総会の運営方法の違反
(5)採決の方法の不備
質疑応答が尽きた場合、または十分に審議時間を確保し、議事の関係で質疑応答の時間を打ち切った場合は、採決へと進みます。
採決の方法は法定されておらず、定款に定めがない限り、拍手、挙手、株主の起立、投票用紙による投票等、合理的な範囲で議長の裁量により行うことができます。
賛否の議決権のカウントを行い、議長は可決か否決かを宣言します。
ここでは、単純な議決権の集計ミス、議決権行使ができない株主の議決権を算入する、普通決議事項か特別決議事項かを誤る等により、否決すべきものを可決と宣言するような誤りを避けるよう留意する必要があります。
全会一致や、賛否の議決権が大差の場合は問題となる例は少ないと思われますが、拮抗している場合には、適宜、事務局等が正確に賛否の議決権数を把握し、記録すべきです。
採決方法やその結果が誤っている場合には、決議の方法の法令違反として取消事由となり、もしくは採決が存在せず、株主の賛否も不明な状況であれば決議不存在となる可能性があります。
<続く>