3 典型的な株主総会の運営方法の違反
(3)動議の処理に関する不備
ア 議案の修正動議
議案の修正動議とは、総会の目的事項(議題)について、議場において会社提案の議案とは異なる議案を株主が提案できることを定めたものです(会社法304条)。
これに関しては、会社提案の議案と一括して審議することも可能で、採決の順序も議長の裁量の範囲内です。議長としては動じることなく、動議を受け付けた上、会社提案の原案の採決、株主提案の修正動議の採決を行えば足ります。
ただし、取締役会設置会社の場合は、動議が株主総会の目的事項(議題)と異なる場合は受け付ける必要はありません。
また、動議が法令又は定款に違反する場合、または実質的に同一の議案につき総株主の議決権の10分の1の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、当該動議の提出は認められません(会社法304条但書)。
イ 手続的動議
典型的には、総会の延期又は続行に関する動議(会社法317条)、議長不信任動議等があります。これらの動議を株主が提出した場合には、議長は議場に賛否を諮り、出席株主の議決権の過半数で可決・否決を決定する必要があります。
動議をその場で受け付けるべきかの判断に悩む場合には、念のため議場に諮り、賛否を確定させておくことが無難です。特に、会社ないし経営陣側が過半数を確保している場合には、慌てる必要はありません。
<続く>
「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」会社法を遵守した株主総会15-株主総会の運営に関する留意事項⑤-