加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」会社法を遵守した株主総会9-株主総会の招集に関する留意事項③-

2 典型的な招集手続違反(続)

(4) 招集通知の法定期間を遵守していない

全株式譲渡制限会社においては、株主総会の日の1週間前までに、株主に対して招集通知を発送する必要があります(会社法299条1項)。それ以外の公開会社では、株主総会の日の2週間前までに発送が必要です。

ここで留意すべきは「1週間前」とは、招集通知を発した日と株主総会の日との間に中7日が必要であるという点です。例えば6月30日金曜日が株主総会の日だとすれば、中7日前(8日前)の6月22日木曜日までに招集通知を発送する必要があります。

なお、株主名簿上の株主に対し発送をすれば、現実に株主に到達する必要はありません(会社法126条1項)。

発送日を裏付けるため、郵便記録の控えを保管しておくべきです。また、郵送ではなく手渡しも可能ですが、この場合も招集期間を遵守する必要があるため、例えば社内の株主に手渡した場合、渡した日を記録しておくべきです。

招集通知の法定期間が不足している場合は、それがわずか1日であっても、株主総会の取消事由となるおそれがあります。

(5) 定時株主総会の招集の通知に際して計算書類・事業報告を株主に提供していない

取締役会設置会社では、定時株主総会の招集の際には、計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)、事業報告及び監査報告を招集に際して株主に提供しなければなりません(会社法437条)。

招集通知を郵送する場合には、招集通知にこれらのコピーを同封し、社内株主等に手渡しする場合には、招集通知とともに渡す必要があります。

特に、中小企業では、これらの各書類を招集通知とともに提供せずに株主総会の議場に配布するのみとしていたり、計算書類のうちの株主資本等変動計算書や個別注記表、事業報告、監査報告の提供がなされていない例が散見されます。

これらの各書類の提供がない場合は、それが一部であっても株主総会決議の取消事由となるおそれがあります。

(6)委任状

株主が代理人により議決権を行使する場合は、原則として代理権を証する書面(委任状)を会社に提出することが必要ですので(会社法310条1項)、出席株主が確保できず定足数を満たさないおそれがある場合は、招集通知に同封して委任状を送付するのがよいでしょう。

<続く>

「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」会社法を遵守した株主総会10-株主総会の招集に関する留意事項④-

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