1 招集手続が遵守されていない場合のリスク
株主総会を開催している会社であっても、会社法の定める招集手続を遵守していない場合には、招集手続の法令違反であり、決議の取消原因があるとして、株主総会決議取消訴訟(会社法831条)により、決議が取り消される可能性があります。さらに手続違反が著しい場合には、株主総会決議不存在確認訴訟(会社法830条1項)により決議が法律上不存在であると判断される可能性もあります。
株主総会決議取消訴訟は、決議の日から3か月以内に裁判所に提訴することが必要ですが(会社法831条1項)、株主総会決議不存在確認訴訟は提訴期間の限定がないので、過去の決議に関しても決議不存在が確認される可能性があります。
訴訟が認容された場合には、決議はなかったこととなるため、役員の地位が覆り、役員報酬支給の根拠が失われたり、取り消された株主総会決議による自己株式の取得やスクイーズ・アウト、種類株式の導入等が無効となるおそれがあります。
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「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」会社法を遵守した株主総会8-株主総会の招集に関する留意事項②-