1 株主総会の決議事項
取締役会設置会社と取締役会非設置会社では、株主総会の役割・決議事項に大きな違いがあります。
取締役会設置会社の株主総会は、法令又は定款に定められた事項のみ決議をすることができます(会社法295条2項)。また、取締役会設置会社では、招集通知で定められた会議の目的事項以外は決議できません(会社法309条5項)。
一方で、取締役会非設置会社の株主総会は、法令に定められている事項のほか、会社のあらゆる事項につき決議することが可能です。招集通知で定められた事項以外の決議も可能です。
このように、取締役会設置会社では、株主総会の決議事項を限定し、経営に関する事項の多くを取締役会決議に委ねているのに対し、取締役会非設置会社では、株主総会が最高かつ万能の機関であるという大きな違いがあります。
2 決議の種類
株主総会の決議には、①普通決議(会社法309条1項)、②特別決議(会社法309条2項)、③特殊決議(会社法309条3項、4項)の3種類があります。重要性が高いのは、普通決議と特別決議です。
① 普通決議:議決権を行使できる株主の過半数の議決権を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数の賛成で決議が成立
② 特別決議:議決権を行使できる株主の過半数の議決権を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成で決議が成立
いずれも定款の定めをもって定足数を緩めることができますが、特別決議については3分の1以上の議決権を有する株主の出席は必要です(会社法309条2項かっこ書き)。特別決議を要する決議事項としては、例えば定款の変更、営業の譲渡、減資、会社の解散・合併契約の承認等があります。
<続く>