3 株主総会不開催の大きなリスク
会社法には、株主総会決議不存在確認請求訴訟(会社法830条1項)という訴訟類型があり、この訴訟が認容された場合、議事録上は株主総会で決議したものとされている決議事項につき、決議がなかったことが確認されます。判決により株主総会決議の不存在が確認されると、代表取締役、取締役、監査役の役員の地位についてもなかったものとなり、役員報酬や過去の退職慰労金の支給根拠にも疑義が生じるなど、様々な問題を生じさせるおそれがあります。
なお、この訴訟は、1株のみの株主であっても提起可能であるため、経営陣や味方となる株主が過半数を確保していても訴訟提起のリスクがあります。
また、役員会などで主要な株主が集ったものを株主総会として扱っていたとしても、一部の株主に参加の機会を与えていないのであれば、株主総会決議不存在確認訴訟または株主総会決議取消訴訟(会社法831条)の対象となり、リスクがある旨注意が必要です。
このようなリスクに鑑みれば、株主総会を開催することは、少数株主との関係においても、コンプライアンス遵守の観点からも重要です。
次回からは、株主総会の基礎知識を解説します。
<続く>