会社法では、取締役等の役員が、その職務を行うについて悪意又は重過失があったときには第三者に生じた損害について賠償責任を負う旨定められています(会社法429条1項)。
株主が「第三者」に含まれるか否かについては議論がありますが、中小企業の大部分を占める取締役と支配株主が一体である閉鎖型の会社については肯定し、株主による損害賠償請求を認める見解が有力です。裁判所も、株主総会特別決議を欠く有利発行の事案、利益相反取引の事案において、株主による損害賠償請求を認めています。
よって、コンプライアンス経営の徹底は、第三者責任の観点からも重要といえます。
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「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」 コンプライアンス経営の重要性5-取締役等を対象とする刑事処分・行政処分-