ここまで計4回にわたってステマ規制について説明しました。
デジタル領域における表示については技術の進展と新しいビジネスの勃興が激しく、今なお流動的であり、法規制も今後も継続して変化していくことが見込まれます。
今回のステマ規制はデジタル領域におけるものに限定されていませんが、そもそもステルスマーケティング自体がデジタル領域ならではのものではないかと思います。
今回紹介した運用基準についても、「取引の実態や社会経済情勢の変化に合わせて、事業者等における予見可能性を確保できるよう、運用基準の明確化を図っていることとする。」とうたわれており、当該分野に関しては日々新しい情報を収集していき、逐次対応していくことが求められます。
最後に、第4回までの間に説明したことを簡単にまとめて、終わりにしたいと思います。
(まとめ) ・ステマ規制は景表法5条1項3号に基づく内閣府告示の策定を受けて新設されたもの ・具体的な当てはめについては運用基準を検討する必要がある。 ・ステマ規制は、「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示」であること、「一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められる」ことの2つの要件を満たしたものに課せられる規制である。 ・この2つの要件に関する考え方についても、運用基準が例示をもって紹介、解説を行っているため、事案処理においては運用基準が示す例から景表法違反のリスクについて分析する必要がある。 ・運用基準では一部ではあるものの、事業者の表示とされた場合における対応策についても紹介しているので参考となる(例えば、事業者のウェブサイト上に掲載している専門家の意見を記載する場合の事業者の表示である旨の記載方法等)。 |
弁護士浅井佑太