加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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M&Aにおける株式移転⑤ ― 株式移転の効力

第1 設立登記

 株式移転をする場合、次に掲げる日のいずれか遅い日から2週間以内に株式移転設立完全親会社について、その本店所在地において設立登記をする必要があります(925条)。

① 株主総会承認決議の日

② 株主・新株予約権者に対する買取請求権の通知・公告をした日から20日を経  過した日

③ 債権者異議手続が終了した日

④ 当事会社が定めた日

  

 株式移転に伴い必要となる登記事項は,通常の会社設立の登記事項(925条,911条3項)及び株式移転設立完全親会社が株式移転に際し同社の新株予約権を交付した場合の当該事項です。

  

 株式移転完全子会社については,株式交換の場合の株式交換完全子会社の規律と同様,原則として登記不要であり,株式移転完全子会社の新株予約権者に対し,株式移転設立完全親会社の新株予約権が交付される場合のみ登記が必要です。

  

第2 発行済株式すべての取得

 株式移転の効力は、株式移転設立完全親会社の設立登記により生じます(774条1項、49条)。

 効力発生日において、株式移転設立完全親会社は、株式移転完全子会社の発行済株式のすべてを取得します(774条1項)。

     

第3 株主・社債権者・新株予約権者

 株式移転完全子会社の株主に対し、株式移転設立完全親会社の株式が交付される場合には、効力発生日に、株式移転設立完全親会社の株主になります(774条2項)。

 株式移転完全子会社の株主に対し、株式移転設立完全親会社の社債・新株予約権・新株予約権付社債が交付される場合には、効力発生日に、株式移転設立完全親会社の社債権者・新株予約権者・新株予約権付社債に付された新株予約権者になります(774条3項)。

株式移転計画新株予約権の新株予約権者に対し、株式移転設立完全親会社の新株予約権を交付するときは、当該新株予約権者は、効力発生日に株式移転設立完全親会社の新株予約権者になります(774条4項)。また、その株式移転計画新株予約権が新株予約権付社債に付されたものであるときは、株式移転設立完全親会社が当該社債債務を承継します(774条5項)。

 なお、株式移転完全子会社の株券、株式移転計画新株予約権に係る新株予約権証券については、効力発生日に無効となります(219条3項、293条3項)。

M&Aにおける株式移転① ― 株式移転の意義・特徴

M&Aにおける株式移転② ― 株式移転の手続①

M&Aにおける株式移転③ - 株式移転の手続②

M&Aにおける株式移転④ - 株式移転の手続③

M&Aにおける株式移転⑥ ― 株式移転の差止め・無効

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