加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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M&Aにおける株式移転③ - 株式移転の手続②

第1 はじめに

 本稿では、株式移転完全子会社に備置が要求されている、事前備置書面、事後備置書面について説明いたします。

  

第2 事前備置書面

1 備置開始日

 株式移転完全子会社は、備置開始日から、効力発生日の後6ヶ月を経過する日まで、株式移転計画その他法務省令で定める事項(規則206条)を記載した書面または電磁的記録を本店に備置しなければなりません(803条1項3号)。

 備置開始日は、次に掲げる日のいずれか早い日をいいます(803条2項)。

 ① 承認総会の2週間前の日

 ② 株式買取請求に関する通知・公告の日

 ③ 新株予約権買取請求に関する通知・公告の日

 ④ 債権者の異議に関する公告・催告の日

    

2 法定記載事項

 事前備置書面に記載すべき事項は以下のとおりです(規則206条)

 ① 株式移転計画の内容

 ② 株式移転計画に定める対価の定めの相当性に関する事項

 ③ 資本金、資本準備金の額の相当性に関する事項

 ④ 新株予約権の定めの相当性に関する事項

 ⑤ 共同株式移転の場合、他の完全子会社に関する以下の事項

イ 最終事業年度の計算書類

ロ 最終事業年度の末日以降の日を臨時決算日とする臨時計算書類

ハ 決算期後に生じた重要な事実

 ⑥ 株式移転完全子会社の決算期後に生じた重要な事実

 ⑦ 株式移転に異議を述べることができる債権者がいる場合に、株式移転が効力を生ずる日以後における完全親会社の債務の履行の見込みに関する事項

  

3 記載事項の変更

 備置開始後に記載事項に変更が生じたときは、変更後の事項を記載した書面等を備え置く必要があります(規則206条6号)

  

4 事前備置書面の閲覧、謄本の交付

 株式移転完全子会社の株主または新株予約権者は、営業時間内はいつでも、備置書面等について閲覧を請求し、または、会社の定めた費用を支払って謄本等の交付等を請求することができます(803条3項)。

  

第3 事後備置書面

1 備置期間 

 株式移転完全子会社は、効力発生日後遅滞なく、株式移転設立完全親会社が取得した株式移転完全子会社の株式の数その他の株式移転に関する事項として法務省令(規則210条)で定める事項を記載等した書面または電磁的記録を本店に効力発生日から6か月間備え置かなければなりません(811条1項2号)。

  

2 事後備置書面の記載事項

 規則210条各号で定める記載事項は以下のとおりです。

 ① 株式移転が効力を生じた日

 ② 株式移転の差止請求(805条の2)に係る手続の経過

 ③ 反対株主の株式買取請求(806条)、新株予約権買取請求(808条)及び債権者異議(810条)の各手続の経過

  

3 事後備置書面の閲覧、謄本の交付請求

 株式移転完全子会社の株主、債権者は、株式移転完全子会社の効力発生日における株主・新株予約権者であった者は、営業時間内はいつでも、備置書面等について閲覧を請求し、または、会社の定めた費用を支払って謄本等の交付等を請求することができます(811条4項、3項)。

  

M&Aにおける株式移転① ― 株式移転の意義・特徴

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M&Aにおける株式移転④ - 株式移転の手続③

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